遺言書の相談は、弁護士にしかできないと思っている方もいるのではないでしょうか。

実は、弁護士・司法書士・行政書士・税理士などあらゆる士業が、遺言相談を受け付けています。

『ウチには大きな財産も貯金もないし・・・遺言とか相続なんてドラマみたいに大金持ちにしか関係ないでしょ?』

一般の方々の中には、そう思っている方も少なくないのかもしれません。

ですが、『相続』は、誰もが経験する可能性があります。財産の多い少ないは関係ありません。

相続には民法で定められた法律手続きがあります。それらに沿って準備・処分することが、紛争を未然に防ぐことへと繋がります。

『被相続人の想いや気持ちが法律的に実現可能なのか?』『可能であったとしても、被相続人や相続人にとって適切なのか?』当事務所ではじっくりとご相談内容を検討し、必要な調査を行い、最善の提案を提示できるように尽力致します。

遺言書の作成支援で行政書士ができること

先に申し上げたように、 弁護士だけでなく、司法書士・行政書士・税理士などあらゆる士業が、遺言相談を受け付けています。

『相続に備えて遺言を残しておきたい』と思ったとき、専門家に支援をお願いしたいと考えておられる方が多いかと思います。

ここでは、遺言書作成支援で行政書士ができることについてお話します。

1.遺言書作成のアドバイス

実際に遺言書を書くことは『ご本人』しかできないので、行政書士がお手伝いできるのは厳密にいうと、遺言書の文案・内容についてのアドバイスになります。遺言書には、基本的には何をどのように書いてもかまいません。しかし、遺言書が法的に効力を持つには、定められた書き方があります。ご依頼者様は遺言書に書きたい内容を伝え、行政書士は書き方を教えながら、遺言書の案を作成します。

2.遺言の執行(遺言執行者)

遺言書を作成する際、遺言を執行する人、『遺言執行者』を定めることがあります。遺言の執行とは、遺言の内容を実現するために、相続の手続きを行うことです。相続の手続きは、預金の解約手続き・金融資産の名義変更・土地家屋の不動産移転登記など、多岐にわたります。遺言に記載された内容の実行については、相続人の誰かがやることも多いですが、行政書士など第三者を介入させることで感情的なもつれを無くし、淡々と進めていくことを希望される方も多くいます。※不動産移転登記は司法書士の業務となります。

3.財産目録の作成

遺言書は、相続財産の配分を定めるもので、『誰に・何を・どのくらい配分するか』を示します。財産を分けるためには、財産の内容を正しく把握しておく必要があります。きちんと評価額を算定して、財産の総額を把握します。もちろん、遺言作成時と相続時では財産の評価額は異なりますが、ここで必要なのは財産の棚卸をしておくことです。

4.相続人の調査

相続人が簡単に特定できれば問題はありません。しかし、相続人が多いときや関係が複雑なときは、相続人を正しく把握する必要があります。家族が知らない相続人が存在する、ということも考えられます。

5.相続関係図の作成

相続人が正しく把握出来たら、相続関係図を作成することをおすすめします。被相続人と相続人の関係によって、決められた相続の配分(法定相続分)があります。相続人調査の内容を図にすることで、法律的に誰がどれだけ相続をするかという基本が決まります。基本となる法定相続分を知った上で、そこに遺言者様の意図をどれだけ組み込んでいくかを考えて遺言書を作成するために、相続関係図は大切です。

6.戸籍の取得

相続人の調査は、戸籍を取得する必要がありますが、その方法は複雑です。まず、戸籍は住所の所在地の役所ではなく、戸籍の所在地の役所で請求しなくてはなりません。『原戸籍』といって、現在の戸籍の原本が必要になります。古い戸籍や、遠方の戸籍をもつ方になると、役所を回るだけでも一苦労です。働いている方や、平日日中に用事がある方は、この戸籍収集を行政書士に丸投げされる方も多いです。

遺言の役割

遺言には自分の死後、その財産(遺産)の処分方法や分配等をあらかじめ作成しておき、相続人間の紛争を未然に防ぐ役割があります。

民法が保護する遺言事項は、法定相続分と異なる相続分の指定、推定相続人の廃除または廃除の取り消し、遺産分割の禁止(最長で5年)、認知・・・などとなります。これらの事項を希望する環境・心情であられる方は、是非、遺言書を作成されることをおすすめ致します。

遺言の方式

遺言は15歳になれば誰でも自由に行うことができますが、遺言の方法については民法に規定されています。

※民法第960条 遺言は、この法律に定める方式に従わなければ、することができない。

遺言の効力は、書いたときに始まるのではなく、その遺言者が死亡した時から発生します。そのため、遺言の解釈について混乱を避けるため、方式が厳格に法定されています。また、遺言者は、その内容を遺言の方式に従って、撤回したり変更したりすることもできます。遺言者は自由に財産の分与を指示することができますが、遺留分(民法では最低限相続できる財産を、遺留分として保証しています)に関する規定には反することができません。

遺言の方式は3つの普通方式と4つの特別方式があり、一般的には普通方式が使われます。

3つの普通方式とは、下記の通りです。

1.自筆証書遺言

遺言者が自筆ですべての遺言内容を記載する方式です。用紙の指定はありませんが、遺言者がすべての内容を自筆で書き、日付・氏名を自署し、押印する必要があります。ワープロなどで作成し印刷しても、『自筆』でないため、認められません。

従来、自筆証書遺言は費用をかけずに作成できる一方、紛失や偽造・改ざんの恐れがある他、遺言書をご自身で保管するため、遺言者ご本人がお亡くなりになった後に遺言書が発見されない可能性がありました。また、相続が開始したあとは家庭裁判所での遺言検認手続きが必要となり、遺言の執行開始までに時間がかかるという欠点もありました。

これらのデメリットを解消し、自筆証書遺言の作成を促進するために、法務局における遺言書の保管等に関する法律が成立し、法務局における自筆証書遺言書保管制度が創設され、2020年7月10日からスタートしています。

法務局保管制度を利用すると、保管後は第三者によって偽造・変造されることはありえません。また、保管申請時に法務局が遺言者と対面し、本人確認をし遺言書の確認をしますので、間接的に当該遺言書が遺言者自身が作成したという強い推定が働きます。(遺言者自身が作成したものでない遺言書を保管申請することは通常ありえないため)

遺言書保管制度を利用することは、①保管申請後に偽造されていない事を証明できる②遺言書が真実に作成されたものであるという強い推定が働くというメリットがあります。

自筆証書遺言を保管できる法務局や必要な書類など、詳しくはお問い合わせください。

2.公正証書遺言

遺言者が遺言の趣旨を公証人に口述し、公証人が公正証書に作成します。基本的には、遺言者ご本人が公証役場に出向いて作成する必要があります。

遺言書の作成には2人以上の証人が立会い、公証人が内容を確認しますので遺言書の信頼性が高く、後日無効となる心配がありません。また、遺言書の原本は公証役場で保管されるため、偽造・変造等のおそれもなく、最も安全で確実な遺言書作成方法と言えるでしょう。

公正証書遺言は信頼性の高い遺言書ですので、遺言者ご本人がお亡くなりになった後に相続が開始した場合であっても、家庭裁判所の遺言検認手続きが不要になります。

公証人役場に出向くことが難しい方の場合、公証人から遺言者ご本人のところに出向くこともできます。

公正証書遺言の作成には証人が2名必要となる等、手間や費用がかかりますが、最も安心な方式であり、当事務所では公正証書遺言をおススメしています。

3.秘密証書遺言

公証人と2人以上の証人に遺言書の『存在』の証明をしてもらいながら、本人以外は内容を見ることができないので、遺言内容を『秘密』にすることができる遺言の方式です。

遺言者の死後、遺言書が発見されないケースを防ぐことができかつ遺言の内容を秘密にしておくことが出来るのが、秘密証書遺言の特徴です。

ただし、秘密証書遺言は、他の方法に比べ手間がかかったり、担当する公証人が『遺言の内容』は確認しないため、記載に不備があると無効になる恐れがあります。確実性に欠ける他、法改正により、秘密証書遺言を利用する利点が失われたため、あまり用いられることのない遺言方法でもあります。

自分の死後もなお、大切な方々をお守りするために。

独力で形式的に有効な遺言書を作っても、内容に不備があると大変です。

例えば、推定相続人に誰がいるか資料がなくても、形式的に有効な遺言書は作れます。しかし、全ての相続人を明示する資料がなければ、不備のある遺言書になってしまい、相続の実行はできません。
また、一部の財産の相続しか書かれていない遺言書の場合、残りの財産を相続人が話し合って誰が何を相続するかを決めます。その際に、相続人は財産調査をしなければなりません。戸籍謄本や財産資料の収集には時間や手間がかかりますし、相続人の誰か一人に負担がかかれば、その人が不満を持ち、相続人間で揉める原因にもなります。

『残された大切な方々をお守りするために。』

ぜひ、当事務所へご相談ください。