産業廃棄物の収集・運搬は、誰でも自由に行えるわけではなく、専用の許可を受けた業者だけがその業務を行うことができます。
産業廃棄物の収集・運搬を行う業種を、『産業廃棄物収集運搬業』と言います。産業廃棄物の収集運搬には、都道府県知事の許可である『産業廃棄物収集運搬業許可』が必要となります。
また、排出事業者として産業廃棄物の収集運搬を業者に委託する場合には、産業廃棄物収集運搬業の許可を受けている業者に委託するのはもちろん、マニフェストを発行し産業廃棄物の処理の行方をしっかりと管理する必要があります。
産業廃棄物とは?
産業廃棄物とは、事業活動に伴って排出された廃棄物のことです。その種類は廃棄物処理法によって、全部で20種類に分類されています。
『事業活動に伴って排出される』という部分がポイントで、例えば廃油や廃プラスチック類などの12種類は、どのような事業活動で排出されても、排出された時点で産業廃棄物として扱われます。一方で、紙くずや木くずなどの7種は、建設業に係る事業活動で排出されたりするもののみが産業廃棄物として扱われ、指定された事業以外から排出されたものは一般廃棄物として扱われます。
また産業廃棄物の中でも、毒性があったり人体や環境に悪影響を及ぼす可能性があるものは『特別管理産業廃棄物』と呼ばれ、その扱いはさらに厳しくなります。特別管理産業廃棄物の収集運搬を行うには、『産業廃棄物収集運搬業許可』のほかに、別途『特別管理産業廃棄物収集運搬業許可』が必要となりますので注意が必要です。
マニフェストとは?
マニフェストとは、産業廃棄物の処理を業者に委託する場合に発行する専用の伝票のことです。
『産業廃棄物管理票』とも呼ばれ、これを産業廃棄物と一緒に業者間に流通させることによって、各業者に産業廃棄物の情報を正しく伝え、処理が正しく行われているかを把握します。
マニフェストには、紙と電子の2種類があり、特に特別管理産業廃棄物の排出量が多い事業者では電子マニフェストの利用が義務化されています。マニフェストの管理は煩雑なため、義務化の対象でない事業者でも、電子マニフェストを利用するメリットがあります。
産業廃棄物収集運搬業許可の要件
産業廃棄物収集運搬業許可は、産業廃棄物の収集・運搬を委託され、事業として行う(運搬料金を頂く)場合に必要となる許可です。
この許可は都道府県知事によって出され、許可を受けるためには以下の条件を満たす必要があります。
なお、収集運搬に際して都道府県をまたぐ場合(新潟県で積み込んで長野県へ持って行く、など)、排出元と運搬先それぞれの都道府県知事から許可を得る必要があります。また、申請先は各都道府県知事となっていますが、申請の窓口が別の組織に委託されている場合もあるため注意が必要です。
また、申請を行うと審査が行われますが、許可が下りるまでおおよそ3ヶ月程度かかります。申請をして即日許可が下りるというわけではありません。
①運搬施設等を有すること
廃棄物が飛散・流出し、悪臭が漏れるおそれのない施設を有する必要があります。
・収集運搬車両・運搬船
・駐車場
・運搬容器・・・廃棄物が飛散・流出し、悪臭が漏れるおそれのある場合は容器等を備える。
・積替え保管場所(積替え保管を行う場合)
囲いや掲示板を設ける等、基準に適合した積替え保管場所が必要です。
・その他の収集運搬業にかかわる施設(積替え用リフト・バックホー等)
②収集運搬業を的確に行うことのできる知識及び技能を有すること
財団法人日本産業廃棄物処理振興センターが実施する講習会を受講し、修了証を交付されていることが必要です。
講習会の種類には
・収集運搬課程(新規・更新)
・処分課程(新規・更新)
・特別管理産業廃棄物収集運搬課程(新規)
・特別管理産業廃棄物処分課程(新規)
などがあります。特別管理産業廃棄物収運運搬、特別管理産業廃棄物処分 については(更新)はありません。
普通産廃の(更新)を受講することで、更新することができます。
※修了証の有効期間は、新規の場合は5年、更新の場合は2年です。
③事業を的確に、かつ、継続して行うことのできる経理的基礎を有すること
原則として、利益が計上できていること、自己資本比率が1割を超えていること(少なくとも債務超過の状態でないこと)が必要です。
④欠格要件に該当しないこと
廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)第14条第5項第2号イからへに該当しないことが必要です。
※破産していないか、犯罪を犯していないか、暴力団員等でないか・・・など
更新許可申請
産廃許可の更新は、運転免許のように、更新の案内が来るわけではありません。知らないうちに許可期限がすぎてしまい、失効してしまうことが無いように、「許可の有効年月日」はしっかり把握しておく必要があります。
その他、具体的な注意点は以下の通りです。
・更新の1年前になったら日程を確認をして講習会を受講すること。
更新許可申請書には講習会の修了証を添付します。添付する修了証の有効期限は、新規で5年間・更新で2年間となりますので、必ず受講しなければなりません。更新の1~2年前には講習会の日程を確認して受講しましょう。
・更新許可申請は、「許可の有効年月日」のおおよそ2か月前に行うこと。
新しい許可証の交付には申請してから約60日かかるとされていますので、きちんと2か月前に申請を行っていれば、有効年月日までには新しい許可証が交付されます。そのためには、2か月以上前から、申請書の作成を始めなければなりません。
・前回の申請以降に、変更の届出をした?
役員や株主などが変わったけど、変更の届出を忘れていた。そんな時は、当事務所にご相談ください。
変更許可申請
下記のような、変更の届出では変更ができない事項は、事業範囲変更許可申請が必要となります。
・取り扱う産業廃棄物の種類の追加(限定の解除を含む)
例)現在の事業の範囲は木くずのみだが、廃プラスチックや紙くず、繊維くず、石綿含有産業廃棄物も取り扱いたい、など。
・新たに積替え保管の許可を受ける場合(収集運搬業)
3. 産業廃棄物収集運搬業許可が不要な例
ここまで、産業廃棄物の収集・運搬には、産業廃棄物収集運搬業許可が必要であるとお伝えしてきましたが、許可が無くても収集・運搬を行って良いケースもあります。具体的には下記のケースです。
①自社の産業廃棄物の収集運搬
産業廃棄物収集運搬業許可は、委託を受けて産業廃棄物の収集・運搬を行う際に必要となる許可です。そのため、自社で排出した産業廃棄物をそのまま自社で収集運搬する場合には、産業廃棄物収集運搬業許可は必要ありません。
ただし自社で運搬を行う場合でも、廃棄物処理法に則り、飛散や流出・悪臭の発生を抑えるといった安全への措置を講じたり、法定の書類を携行したりするなど、守らなければならないルールはあるので注意が必要です。
②再生利用目的の産業廃棄物の収集運搬
「専ら物」とも呼ばれる、空き瓶や古紙など、再生利用目的となる産業廃棄物のみを収集運搬する場合も、産業廃棄物収集運搬業許可は必要ないとされています。
行政手続きの専門家、行政書士におまかせください!
「行政書士といえば許認可申請」
そういわれるほど、行政書士は許認可申請の専門家として地位を確立してきました。
当事務所では事業者の皆様の代理人として、日ごろから官公署への申請や折衝を行っている行政書士だからこそのノウハウを元に、産業廃棄物収集運搬業許可に関する支援をご提供いたします。
ご相談後に当事務所で受任となりましたら、事業者の皆様が本業に力を注いでおられる間、必要な書類の作成や行政対応などは全て当事務所が行いますのでご安心ください。
ご相談をお待ちしております。