飲食店を始めるには
レストランや食堂などの飲食店や、魚介類・食肉・乳類等の販売業等の食品衛生法で規定された34業種の営業を始める場合、食品衛生法に基づく営業許可が必要です。喫茶店(酒類以外の飲物又は茶菓をお客様に飲食させる営業)の開業については、喫茶店営業許可を受ける必要があります。
飲食店営業許可は、『食品営業許可』の一種であり、お店を開く場所を管轄する保健所に対して申請し、審査に合格することで取得できます。
また、バーやスナックなど風俗営業に該当する店舗は、飲食物を提供する場合、風俗営業許可と併せて飲食店営業許可を受ける必要があります。
当事務所では、事業者の皆様の代理人として日ごろから官公署への申請や折衝を行っている行政書士だからこそのノウハウを元に、飲食店営業許可の申請を代理いたします。
当事務所は上越保健所に近く、保健所対応も万全です。特に上越保健所の管轄地域に飲食店を開業予定の事業者様、ぜひご相談ください。
【2023年12月13日改正】事業譲渡に関する手続きについて
2023年12月13日より、営業の事業譲渡についての手続が整備されました。
今までは会社の合併や分割、相続以外での事業譲渡については、旧オーナー様による営業の廃止手続きを行い、新オーナー様が新たに新規の営業許可を取得する必要がありました。
今回の改正により、事業譲渡後に遅滞なく届出を行うことで、営業者の地位を承継することができるようになります。
事業譲渡の手続きについては、各自治体によって詳細が異なりますので事前にしっかりと確認する必要があります。
手続により営業を承継した場合、届出受理後、都道府県知事等の調査を受ける必要があります。調査では【きちんと事業が継続されているか】【施設・設備の基準を満たしているか】【衛生管理が適切に行われているか】等の確認がされます。
旧オーナー様の申請に関する書類が残っていない・・・ということもありえます。最悪の場合、届出受理後の調査で重大な欠陥が見つかり、改善されるまで営業停止、という可能性もあります。
こういったトラブルを回避するためにも、事前の確認相談はしっかり行いましょう。
※すでに廃業届が出されている施設を購入する場合や賃貸借する場合は、事業を承継しているとは言えませんので、従来通り新規の営業許可を取得する必要があります。
飲食店営業許可の要件
①食品衛生責任者の設置義務
施設ごとに最低1名、食品衛生責任者の設置が義務付けられています。
下記の有資格者が該当します。
- 調理師免許(ふぐを扱う場合は『ふぐ調理師免許』も必要)
- 栄養士
- 製菓衛生士
- 食品衛生監視員の資格要件を満たす者(医師、歯科医師、薬剤師、獣医師 等)
- 食品衛生管理者の資格要件を満たす者
上記資格が無い場合でも、食品衛生協会が主催する食品衛生責任者養成講習会を受講(6時間)することで、食品衛生責任者になることができます。食品衛生協会は各保健所の建物内にあります。申し込めば誰でも講習を受けることができます。
②施設的要件
区画、面積、ゆか、内壁、天井、明るさ、換気、洗浄設備、汚物処理施設など都道府県の条例で定められています。営業許可の種類によって2以上の食品を扱う場合、共通して備えなければならない施設基準があります。
以下にあげた要件は、飲食店営業許可の一例です。各施設、営業形態、地域により下記の例とは異なる場合があります。
共通基準
- 換気が適切にできる構造又は設備
- 洗浄設備
- 流水式手洗い設備(洗浄・消毒剤付き)
- 原材料保管設備
- 洗浄剤、殺菌剤保管設備
- 廃棄物容器(ゴミ容器はフタ付きで清掃しやすく、汚液や臭いが漏れないこと)
- 掃除用具の設置と保管場所、作業内容の掲示設備
- 更衣場所(清潔な作業着、帽子などを備えること)
- トイレ(専用の流水式手洗い設備付き)
- 給排水設備(飲用適の水を豊富に供給できること)
必要に応じて
- 冷蔵冷凍設備(温度計)
- 給湯機器
- 添加物専用保管設備(場所)、計量器等
- 加熱殺菌等の設備(温度計)
取り扱いに応じて(詳細は面談にて)
- 生食用食肉の加工又は調理設備
- ふぐの処理設備 等
その他
- 床,壁,天井は清掃しやすい構造であり、床と壁(床面から1メートル程度)は耐水性であること。床は排水が良好であること。
- 住居その他営業に直接必要でない場所と壁などで仕切られていること。(自宅の台所と共用不可)
- ねずみや昆虫の侵入を防ぐ設備があること。
- 照明は100ルクス程度の明るさであること。
③欠格事由に該当しないこと
以下に該当する場合、許可を受けることができません。
- 過去に食品衛生法に違反して刑に処せられ、その執行を終わり、又は、執行を受けることがなくなった日から起算して2年を経過しない者。
- 過去に食品営業の許可を取り消され、その取消の日から起算して2年を経過しない者。
飲食店開業時に消防署へ届出は必要?
防火管理者選任届
飲食店を開業する時に、うっかり忘れてしまいそうですが、とても大切なことが『防火管理者』の存在です。
店舗の収容人員が従業員も含めて30人を超える場合や、店舗自体の収容人員が30人以下でも建物全体の収容人員が30人を超す場合は、消防法に基づき1店舗ごとに1人、防火管理者の有資格者を置くことになっており、消防署へ選任届の提出が必要となります。
つまり、収容人数が30人を超えるかどうかで、防火管理者の要不要が分かれます。
この30人という数字のカウントの仕方ですが、店舗内の席数に従業員とアルバイトの数を加えて算出されます。仮に席数が25席、従業員が2人、毎日来るアルバイトが2人だと、計29人という計算になり防火管理者は必要ありません。
ただし、日替わりで雇っているアルバイトがシフトの関係で全員が入れ替わり出勤しているような場合、現場の人数ではなく、飲食店に来ていない非番のアルバイトも含めたカウントになります。仮に席数が25席、従業員が2人、入れ替わり出勤しているアルバイトが4人の場合、計31人という計算になり、防火管理者を必要とする対象物扱いとなります。この点には注意が必要です。
さらに、店舗の延べ床面積によって種類がわかれます。
延べ床面積が300㎡以上・・・甲種防火管理者
延べ床面積が300㎡未満・・・乙種防火管理者
防火管理者の選任届は、営業開始日までに所轄の消防署へ届け出る必要があります。
防火管理者は、消防署で講習(甲種:2日間、乙種:1日)を受け、効果測定に合格することで取得できます。
防火管理とは、火災の発生を防止し、かつ、万一火災が発生した場合でもその被害を最小限に止めるため、必用な万全の対象を樹立し、実践することです。
糸魚川市で起きた、平成28年の糸魚川大規模火災は、見る人の眼を奪う大火災でした。
あれだけの災害を引き起こした火元が、たった1軒の飲食店だったことは、みなさんの記憶にも刻み込まれているはずです。
飲食店での防火管理者の必要・不要は規模などの制限があるものの、あなたのお店の将来のため、ご相談者様自身が防火管理者となっておくことをお薦めします。
防火対象設備使用開始届
居抜き店舗で営業を始める場合であっても『防火対象設備使用開始届』を所轄の消防署に出す必要があります。
以前から居抜き店舗を扱う不動産会社さんの中には、「必要ない」と言うところもあるかもしれませんが、平成28年の糸魚川大規模火災により、指導・監視が厳しくなっています。
また、上越地域消防事務組合火災予防条例にも、「使用開始7日前までに消防局長へ届け出なければならない」となっています。
※上越地域消防事務組合火災予防条例 第7章第48条(防火対象物の使用開始の届出等)『令別表第1に掲げる防火対象物(同表(19)項及び(20)項に掲げるものを除く。)をそれぞれの用途に使用しようとする者は、使用開始の日の7日前までに、その旨を消防局長に届け出なければならない。』
もし工事をするのであれば内装業者が届け出るとして、何も手を入れずに居抜きで営業を始める場合であっても、所轄の消防署へ届け出ることをお薦めします。
当事務所にご相談ください。
確かに、食品営業許可は責任者様ご自身で申請可能な許可かもしれません。
しかし、お店をオープンされる前の忙しい時期に保健所に足を運び、申請時、施設の確認検査時、許可証交付時と合計3回は時間を取らなければなりません。さらに必要書類(申請書類、図面、誓約書等)も、役所で取得し作成する必要があります。
これらの面倒を当事務所が許可取得までスピーディに対応し、お客様はメニューの考案や人材の採用等、開業準備に専念する事ができます。
当事務所へ、お気軽にご相談ください。